2012/09/30

膝関節の前十字靱帯損傷による動揺性と後遺障害

前十字靱帯損傷のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。

先日、膝関節の障害のご相談がありました。

関節の障害では、曲がらなくなったという相談が多いのですが、ときどき、ぐらぐらするという相談を受けることがあります。
曲がらなくなったというのは、可動域制限といって、これも測り方だとか、自動か他動かだとかいろんな問題があるのですが、ご相談の方は、可動域にはそれほど制限のない方でした。

ちなみに、可動域が3/4以下に制限されていると機能の障害として12級に、可動域が1/2以下に制限されていると機能の著しい障害として10級になるというのが、後遺障害の一応の認定の基準とされています。

この方は、事故で膝の前十字靱帯損傷(ACL)というけがを負い、膝がぐらぐらする(不安定性とか動揺性といいます。)後遺障害が残りました。

しかも、調査事務所からは、例によって画像所見がないという理由で前十字靱帯損傷も否定されていたのです。このこと自体、問題があるのですが、それはまたいつかということで、今日の話題は、関節の動揺性が交通事故の後遺障害として認められるのかという点です。

交通事故の後遺障害の認定は、労災の後遺障害の認定基準にしたがっているのですが、この労災の認定基準に、関節の可動域制限はあるのですが、実は、関節の動揺性が載っていないのです。そこで、可動域制限がないからと思って、あきらめる方が多いように思います。
しかし、あきらめることはありません。
労災の認定基準は、典型的な障害しか扱っていないので、それに載っていなくても、載っている基準に準じて後遺障害を認めることがあります。

この点で参考になるのが、身体障害の認定基準です。詳細は省きますが、身体障害の認定に当たっては、関節可動域の制限と並んで動揺関節も規定されています。
この動揺性で後遺障害を認めさせるのも、いろいろポイントがあって簡単ではありませんが、でも、可動域制限がないからといってあきらめる必要はないというのが、今日、お話ししたかったことです。

2012/09/28

被害者側弁護士のノウハウの蓄積-原総合法律事務所の場合


交通事故の損害賠償は、決して弁護士であれば誰でも簡単に扱えるような事件ではありません(以前ふれました。→こちら「どんな弁護士でも結果は変わらない?」)。
法律問題だけではなく、医学の知識も必要ですし、工学の知識が必要になる場合もあります。
そういう意味では、まさに「専門的」な事件です。

そのノウハウは、ともすれば、個々の弁護士の蓄積で終わっていたように思います。

原総合法律事務所では、所長弁護士原章夫は20年以上の交通事故の被害者側弁護士としての経験がありますが、1人の弁護士が対応できる事件には限界があります。
そこで、現在、原総合法律事務所には所長以外に3人の弁護士が在籍していますが、事務所内外での研修はもちろん、個々の相談や事件についても、所長が積極的に同席、関与し、そのノウハウの共有を図っています。
真に「専門」の名に値する法律事務所であることを、原総合法律事務所は目指しています。

2012/09/24

椎間板ヘルニアが見付かっただけでは・・・

椎間板ヘルニアのご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。

この病名ではちょっと・・・(2012/09/08→こちら)という記事で、あまり嬉しくない病名、症状名として、椎間板膨隆(ぼうりゅう)、椎間板ヘルニアを挙げました。
今回はその説明です。

背骨(脊椎)は、椎骨という骨と、椎骨と椎骨をつなぐ椎間板とからできています。
椎間板は軟骨でできていて、椎骨をつなぐクッションの役目をしています。もう少し詳しくいうと、腺維輪という硬い軟骨の囲いの中に柔らかい髄核という軟骨が入っています。

この椎間板が押しつぶされて、膨れあがってきた状態を椎間板膨隆といい、髄核が腺維輪を破ってはみ出した状態を椎間板ヘルニアといいます。
椎間板ヘルニアになると、はみ出した部分が神経を圧迫して、痛みやしびれが出てきますし、ひどい場合は麻痺も現われます。

そういうと、むち打ち損傷でも椎間板ヘルニアは起こりそうなのに、どうしてあまり嬉しくない病名、症状名なんだと思われるでしょう。

それは、椎間板ヘルニアは、年齢を重ねて弱くなった椎間板であれば、本当に軽い衝撃でも発生するとされているからです。日常のちょっとした動作でも発生するとされているので、椎間板ヘルニアが確認されたからといって、その原因が交通事故かどうかは分からないというわけです。
交通事故が原因であったことを確認するためには、事故直前のMRIでは椎間板ヘルニアがなかったのに、事故直後のMRIで椎間板ヘルニアが確認されることが必要です。しかし、事故直後はともかく、事故直前にMRIを撮っていることなど普通はありません。(ちなみに、以前も説明しましたが、MRIは身体の柔らかい部分を調べるときに有効で、椎間板ヘルニアはMRIで簡単に分かります。)

でも、事故前はなかった痛みやしびれが出てきていて、事故後、椎間板ヘルニアが見付かったのだから、この痛みやしびれには椎間板ヘルニアが関係しているのではと思われるかもしれません。
ところが、ここも難しくて、椎間板ヘルニアであっても、痛みやしびれを感じない場合があるというのです。つまり、事故前は痛みやしびれという症状がなかったからといって、事故前に椎間板ヘルニアがなかったということにもならないのです。

では、被害者側弁護士として、どう考えればいいのか。次回に続きます。

2012/09/22

悪質だから慰謝料を増額して!


よく受ける相談の一つに、あんなに加害者が悪質なのに、慰謝料は増えないのかという質問があります。

事故の原因が飲酒運転や信号無視など悪質だったり、事故を起こしたのが分かっていながらひき逃げしたり、謝罪しないばかりかお金目当てで病院通いをしていると侮辱するなど、確かにひどいと思う場合があります。
そんなとき、被害者として、普通の慰謝料の額では納得できないという気持ちはよく分かります。

でも、交通事故の慰謝料の額は、入通院の期間・日数や後遺障害の等級などでほぼ決まってしまいます。
交渉段階では、その「基準」を超える額を加害者側=損保会社から引き出すことは、まずできません。裁判所の基準に届くのがせいぜいでしょうか(というか、裁判所の基準に届くことも簡単ではありません。)。

ただ、裁判まで考えると、判決では、加害者側の悪質さを考えて、慰謝料を増額することがあります。といっても、増額する場合があるという程度なのですが。

そのような点を理解した上で、交渉で示された慰謝料の額には納得できないというのであれば、裁判に踏み切ることも意味があると思います。
実際、判決になれば、慰謝料だけでなく、ほかの損害項目も増額されることが多いわけですし、事故日から年5%の遅延損害金もつくわけですから。

2012/09/21

症状固定って何?

症状固定のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。

交通事故に遭うと、それまで聞いたこともないような言葉が出てきますが、その代表が症状固定でしょうか。

これ以上の治療をしても、症状が良くなる見込みがなくなることを症状固定といいます。その固定した症状を後遺症とか後遺障害といいます。

この症状固定の時期は重要です。
というのは、症状固定の前後で賠償される損害が違うとされているからです。

例えば、治療費についていえば、症状固定前の治療費は賠償の対象ですが、症状固定後の分は支払ってもらえないのが通常です。治療は症状を良くするためのもので、症状固定により、以後、症状が良くならないのであれば、それは症状が悪くならないようにするための「リハビリ」であって、損害賠償の対象となる「治療」ではないというのが保険会社の原則的な考え方なのです。

また、症状固定までは、収入の減少分をそのまま休業損害として請求できます。ところが、症状固定後は、後遺障害の程度に応じた逸失利益の請求しかできないとされるの通常です。
ちなみに、逸失利益というのが、また難しいのですが、後遺障害が残ってしまった場合に、後遺障害がなかったらもらえたであろう収入のことです。詳しくは、改めて説明しますね。

2012/09/19

「勝ち」を約束すること


弁護士というのは、慎重というか、自分の言動に厳密に責任を持つ人たちなので、「必ず勝ちます」とか絶対に言いません。

良く「先生に依頼したら、(賠償額が)いくら増えますか?」と聞かれますが、可能性しか答えられないのです。
「最終的には裁判所が決めることですし、交渉でも相手がいることなので、約束はできませんが、裁判所の基準にあてはめればこれぐらいにはなるでしょうか。」というのがせいぜいなのです。

もし「私なら、これぐらいにはできます。」という弁護士がいたら、逆に心配です。

これは、あくまでも印象ですが、慎重な言い回ししかしない弁護士の方が、交通事故の難しさを良く知っている知識や経験の豊富な弁護士で、その知識や経験を駆使し、結果としてより良い結果を勝ち取り、依頼者の満足を得ていると思います。

でも、ほとんどの場合(やはり絶対とはいえないのですが。)、損保会社の最初の提示額は、裁判所の基準よりかなり低いので、弁護士が交渉したり、裁判することで、弁護士等の費用を差し引いても、「手取り」のプラス額はかなり増えます。
交通事故は、弁護士に依頼することで、弁護士等の費用を考えても費用倒れにならないことがほぼ確実な、唯一といってもいい事件だと思うのです。

2012/09/18

どんな弁護士でも結果は変わらない?


最近、交通事故など、弁護士になって1~2年目の新人でもできる「簡単な」事件だと言う人(弁護士)がいます。
実際、そんなに経験のなさそうな人が、交通事故の「専門」であるかのように広報しているのを良く見ます(そもそも、日弁連が、業務広告に「専門」と表示することを控えるべきとしている点は措くとして)。

確かに、損害賠償の基本は、弁護士であれば、民法の不法行為という分野で勉強しています。
しかし、交通事故の損害賠償実務で扱う法律上の問題点は、幅広くかつ奥も深く、弁護士になる前にマスターしている人などいません。
みんな、弁護士になってから、交通事故の相談を受け、事件を受任する過程で、いろんな問題があることを知り、勉強していくのです。

加えて、交通事故では、被害者の治療の必要性や後遺障害が問題になることが多いわけですが、そこでは医学の知識も必要です。整形外科の教科書や論文を読む必要もあります。

ときどき、他の弁護士が扱っていた事件を引き継ぐことがありますが、どうしてこんな(不利な)主張をしているのだろうとか、どうして(依頼者に有利な)ここを主張していないのだろうとか思うことがあります。

決して、交通事故は、誰でもできる、誰が扱っても結果が変わらないという事件ではありません。
知識と経験がある弁護士が、そのノウハウを生かして当たれば、そうでない弁護士が担当した場合よりもより良い結果を得ることができると、私は思っています。

2012/09/11

加齢による変性が減額の理由になるか

加齢変性のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。

前回、加齢による変性(変形等)があったとしても、年齢相応のものであって、それまで出ていなかった症状が事故をきっかけに出たのであれば、それは事故による症状だという話しをしました。
事故と症状(障害)との因果関係という問題です。

これを認めざるを得ないとしても、さらに、損保会社は、その変性が症状をひどくし、回復を遅らせたのだから、損害を減額するべきだという主張をします。
素因減額という問題です。
そして、加齢による変性は、そのうち体質的素因といいます(ほかに心因的素因があります。)

体質的素因について、最高裁は、疾患と疾患とはいえない身体的特徴を区別して、疾患は減額の理由になるが、身体的特徴は減額の理由にならないといっています。

疾患と身体的特徴がどう違うのか、分かったようでよく分かりませんが、ここで問題となっている加齢による変性については、年齢相応のものであれば、疾患とはいえず、減額の理由にならないとするのが、裁判所の傾向といっていいでしょう。

結局、加齢による変性があっても、年齢相応のものである限り、賠償の対象になるし、減額の理由にもならないと考えていいのです。
加齢による変性があってもあきらめる必要はありません。

ただ、前回も話しましたが、その判断には医療の知識も必要です。医療にも強い被害者側弁護士でないと扱うのは難しいのかもしれません(原総合法律事務所は、加齢による変性があるケースでも、もちろん扱っています。)。

2012/09/09

加齢による変性があってもあきらめない

加齢変性のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。

前回、こんな病名や症状名は嬉しくないなぁとして、
 変性、加齢性変性、退行性変性
を上げました。

こういったものがあると、すぐ、加害者損保会社は、事故とは関係がない症状・治療と言いたがるのです。

でも、被害者側弁護士としては、こういった病名や症状名がついたからといって、あきらめはしません。

変性、加齢性変性、退行性変性というのは、要するに、年齢を重ねたために身体にいろんな症状が出てくることを言います。
損保会社は、事故のためではなく年齢のための症状だというのです。

でも、確かに事故の前から年齢相応の変形とかはあったにしても、それまで出ていなかった症状が事故をきっかけに出たのであれば、それは事故による症状というべきです。
事故前、病院にかかっていないような事情があれば、加齢による変性があったとしても、あきらめる必要はありません。
まずは、医療にも強い被害者側弁護士に相談してみることをお勧めします。

なお、加齢による変性はあるが事故による症状といえるとしても、さらに、損保会社は「素因減額」という主張をするものです。このことについては、また今度。

2012/09/08

この病名ではちょっと・・・


2012/08/25の記事(→こちら)で、こんな病名や症状名がついていると、重いむち打ち損傷の可能性がある場合をあげてみました。

今度は、むち打ち損傷に関連して良く出てくる病名や症状名で、こんな病名や症状名だと、交通事故による障害とはいいにくいなぁというものをいくつか紹介してみます。


  • 椎間板膨隆(ぼうりゅう)、ヘルニア
  • 骨棘(こつきょく)
  • 頚椎の後弯(こうわん)、直立
  • 変性、加齢性変性、退行性変性
  • 後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)
  • 脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)
  • 胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)


詳しくは、後日お話ししますね。
今回は、あまり嬉しくない病名、症状名のカタログだけです。

2012/09/07

中心性頚髄損傷と診断されたからといって・・・

中心性頚髄損傷のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。

最近、中心性頚髄損傷という病気は、結構知られてきました。
重いむち打ち損傷の中に、実はこの病気があり、普通のむち打ち損傷より高い後遺障害等級が認められることがあるということで。

ところが、中心性頚髄損傷は、頚髄の中心が傷付くというのですから、X線で骨に異常が見付かったりはしません。
そこで、最近の医師には、もっぽら本人の訴え(手がしびれるとか、手が麻痺したという)だけで、中心性頚髄損傷の病名を付ける方がいます。
そして、その中には、実は中心性頚髄損傷とはいえず、頚部捻挫に過ぎないというケースが見受けられるそうです。

確かに、被害の実態から出発しなければならないのですが、あまり安易に中心性頚髄損傷の病名を付けていると、本当に中心性頚髄損傷の人まで、実は頚部捻挫に過ぎないのではないかと疑われることになってしまいます。

ここは、医師のより慎重な診断が必要でしょうし、被害者側弁護士の立場からいっても、中心性頚髄損傷という診断名があったからといって、簡単に高い後遺障害が認められると考えることはできないということになります。

では、どのような場合に、中心性頚髄損傷としてより高い後遺障害が認められるかといえば、まず重要なのは、手の症状(麻痺等)が事故直後からかなり重いということです。
そして、多くの場合、MRIで頚髄に傷があることが確認できます。詳しいことは省きますが、柔らかな組織の異常を見付けるのがMRIですから、頚髄の異常はMRIで見付けることができるというのが理屈です(もっとも、実際には、MRIの撮り方によって、異常が分からないこともあります。)。

さて、原総合法律事務所で担当したケースでも、カルテに手の症状が一貫して記載してありましたし、MRIでも早くから異常が見付かっていました(それだけではなくて、もっといろんな事情があったのですが、問題がややこしくなるので、ここも省略です。)。
そういう場合には、高い後遺障害が認められることになるわけです。

2012/09/06

中心性頚髄損傷という名前って何?

中心性頚髄損傷のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。

「頚髄」というのは、頚椎(首の骨)の中を通る神経の束=脊髄だろうし、「損傷」というのは傷付くことだろうというのは分かります。

では、どうして「中心性」なのかというと。。。
文字どおり、頚髄の中心部分が傷付いたからということのようなのです(正確には、ようだったのです。)。
頚髄の外側は主に下肢(足)の神経が通っていて、内側に行くと上肢(手)の神経が通っているため、頚髄の中心が傷付くと、手が足に比べて不釣り合いに障害される(麻痺などが出る)と説明されていたのです(今も、そういう説明が多いです。)。
そもそも中心性頚髄損傷の定義が、「損傷レベル以下の上肢の機能が下肢機能に比
べて不釣り合いに優位に障害されている症候群」とされるぐらいですから。

といわれるのを、ずっと信じてきたのですが、最近呼んだ論文に、頚髄の外側に下肢の神経が通り、頚髄の内側に上肢の神経が通るというのは、実は仮説に過ぎなくて、解剖的には証拠が見付かっていないという海外の論文が紹介されていました(Nathan PW, Smith M, Deacon P. The corticospinal tracts in man: course and location of fibers at different segmental levels. Brain 1990; 113: 303-24.)。むしろ、上肢、下肢の神経は、頚髄の中にまばらに存在するという報告もあるというではありませんか(Levi AD, Tator CH, Bunge RP. Clinical syndromes associated with disproportionate weakness of the upper versus the lower extremities after cervical spinal cord injury. Neurosurgery 1996; 38: 179-83.)。(決して、私が英語の論文を読んでいるわけではありません。ちょっとかっこつけて英文の論文を貼り付けてみただけです。)

だとすると、「中心性」というネーミングは間違いだったのでしょうか。
でも、そうするとどうしてより上肢に障害が出てくるのでしょうか。

分からないことだらけです。

結局、現代医学をもってしても、分からないことだらけで、医学的に証明できないから、症状はない、事故による後遺障害ではないなどという損保会社側の主張は、実は非科学的で、傲慢としかいえないというのが、今日、言いたかったことでした。
全ては、被害の実態から出発しなければならないのです。

2012/09/02

中心性頚髄損傷

中心性頚髄損傷のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。

原総合法律事務所のホームページがどんなキーワードで検索されているか解析してみると、ここしばらくは常に中心性頚髄損傷の絡んだキーワードが上位に上がってきます。

重いむち打ち損傷の中に、中心性頚髄損傷のあることが知られてきたのは、最近のことでした。中心性頚髄損傷は、低髄液圧症候群・脳脊髄液減少症の次のホットな話題です。

そのホームページの記事がこれです(→本体HP交通事故専用HP)。
「一般に,頚髄不全損傷のうち,受傷時当初から,又はその回復過程において,上肢の運動障害が下肢のそれに比べてより著明なものを中心性頚髄損傷という。
 その受傷のメカニズムは,脊柱管の狭小化がもともと存在していたところに,過伸展といった外力が加わり,頚髄が損傷を受けると説明されている。脊髄内の外側が下肢,内側が上肢を支配するとの仮説の下,脊髄の「中心」が損傷を受けるので,上肢の障害が不釣り合いに大きくなると説明されることがあるが,脊髄内にそのような層状構造が存在することの解剖組織学的な実証は得られていないとの説もある。
 それは,交通外傷でもあり得る受傷のメカニズムである。
 その診断は,神経学的な異常所見の存在とそれに整合する画像所見をもって行われる。MRIでの髄内輝度変化や軟部組織損傷が確認されることが多いが,必ずしもMRI所見が確認されるともいえない(この点で,MRI所見がなければ中心性頚髄損傷を否定する賠償実務は正当ではない。)。
 多くは,時間の経過とともに,神経症状が改善して行くが,予後の悪い例もある。保存療法で麻痺が悪化する場合や高度の脊髄圧迫がある場合には,手術により除圧を行うことで改善する例があるとされる。」

原総合法律事務所では、中心性頚髄損傷のケースも扱ったことがありますが、そのケースでは、当初の調査事務所の後遺障害等級の認定が14級(9号 局部に神経症状を残すもの)だったのを、異議申立てして7級(4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの)となりました。これ、かなりいい結果だと思います。
もちろん、カルテやMRI画像を取り寄せ、その検討結果を意見書にまとめて異議申立てしたことはいうまでもありません。