先日、膝関節の障害のご相談がありました。
関節の障害では、曲がらなくなったという相談が多いのですが、ときどき、ぐらぐらするという相談を受けることがあります。
曲がらなくなったというのは、可動域制限といって、これも測り方だとか、自動か他動かだとかいろんな問題があるのですが、ご相談の方は、可動域にはそれほど制限のない方でした。
ちなみに、可動域が3/4以下に制限されていると機能の障害として12級に、可動域が1/2以下に制限されていると機能の著しい障害として10級になるというのが、後遺障害の一応の認定の基準とされています。
この方は、事故で膝の前十字靱帯損傷(ACL)というけがを負い、膝がぐらぐらする(不安定性とか動揺性といいます。)後遺障害が残りました。
しかも、調査事務所からは、例によって画像所見がないという理由で前十字靱帯損傷も否定されていたのです。このこと自体、問題があるのですが、それはまたいつかということで、今日の話題は、関節の動揺性が交通事故の後遺障害として認められるのかという点です。
交通事故の後遺障害の認定は、労災の後遺障害の認定基準にしたがっているのですが、この労災の認定基準に、関節の可動域制限はあるのですが、実は、関節の動揺性が載っていないのです。そこで、可動域制限がないからと思って、あきらめる方が多いように思います。
しかし、あきらめることはありません。
労災の認定基準は、典型的な障害しか扱っていないので、それに載っていなくても、載っている基準に準じて後遺障害を認めることがあります。
この点で参考になるのが、身体障害の認定基準です。詳細は省きますが、身体障害の認定に当たっては、関節可動域の制限と並んで動揺関節も規定されています。
この動揺性で後遺障害を認めさせるのも、いろいろポイントがあって簡単ではありませんが、でも、可動域制限がないからといってあきらめる必要はないというのが、今日、お話ししたかったことです。