異議申立てのご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。
先日、ご相談に来られた方ですが、調査事務所で後遺障害非該当の結果を受けた方でした。
その結果に納得しておられないので、当然、異議申立ての手続を説明し、また異議申立てをせずに裁判を起こすこともできることを説明しました。
「でも、弁護士は、異議申立てはしないんでしょう。」
「えっ?」
「ホームページとか見ると、よく後遺障害が認められた人の依頼しか受けないと書いてありますが。」
そうなんです。確かに、そういう法律事務所があるのです。
それは、後遺障害の認定を争うためには、カルテも読まなければなりませんし、X線、CT、MRIとかの画像も見なければならないからでしょう。関連する医学の知識がないと、カルテや画像を読むのも大変ですし、有効な異議申立てはできません。
一方、後遺障害を争わないのであれば、損害の計算や過失相殺のあてはめをするだけですから、かなり簡単です。
専門性のある法律事務所でなければ、異議申立てを扱うことは難しいのです。
もちろん、原総合法律事務所では、ずっと前から、当然のように異議申立ての依頼を受け、実際に異議申立てで後遺障害非該当の結論を覆したり、等級を上げたりしてきました。
原総合法律事務所は、20年来、医療過誤に患者側で取り組んできたので、医学が絡むからといって避けることはないのです。
先日のご相談の方ですが、その後、異議申立てを依頼したいとの連絡があり、原総合法律事務所で異議申立てを担当することになりました。
被害者側で交通事故に取り組む原総合法律事務所(東京港区赤坂、長崎)の弁護士原章夫のブログです。東京でのご相談は03-5575-1400、長崎でのご相談は095-820-1500まで。
2012/08/31
2012/08/28
脳脊髄液減少症のこれまでとこれから(8月27日の報道を見て)
脳脊髄液減少症,低髄液圧症候群,髄液漏れのご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。
(脳脊髄液減少症がどのような病気なのかについては、今回はふれません。ごめんなさい。)
むち打ち損傷のうち、特に症状が重いものとして、低髄液圧症候群とか脳脊髄液減少症と呼ばれるものがあることが知られてきたのは、この10年くらいの間でした。
最初は、一部の医師(その代表が篠永正道医師)が、重いむち打ち損傷の中に低髄液圧症候群があると主張し、その治療(ブラッドパッチといいます。)に取り組みはじめました。
そして、そのころ(2006年頃まででしょうか。)、低髄液圧症候群として、比較的高い後遺障害を認める判決もいくつか見られました。
その医師たちは、より適切には脳脊髄液減少症と呼ぶべきだとして、その診断基準を、脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」まとめました(その冒頭の要約→こちら)。
しかし、このころから、むち打ち損傷により起こる低髄液圧症候群ないし脳脊髄液減少症の診断基準がいい加減だといわんばかりの批判が損保会社サイドから巻き起こり、一時、裁判所も、全くこの病気を認めない時期が続きました。
実は、原総合法律事務所でも、この時期、2件の脳脊髄液減少症のケースを扱ったことがあるのですが、裁判所は否定的でした。
その後、ようやく議論が落ち着き、まず、2010年、日本脳神経外傷学会が「外傷に伴う低髄液圧症候群」の診断基準を発表しました(→こちら)。
そして、2011年、厚生労働省の脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究班が、「脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準」を明らかにしたのです(→こちら)。この研究班の基準は、関係する8つの学会が了承したもので、今後は、この研究班の基準により、脳脊髄液減少症が診断されるものと思われていました(ちなみに、この研究班には、篠永正道医師も入っています。)。
そうであれば、当然、裁判所も、この研究班の基準により脳脊髄液減少症の判断をすることが予想されていたところで、8月27日の報道によると、横浜地裁が、今年の7月にこの基準により「脳脊髄液減少症の疑いが相当程度ある」として、加害者側に約2300万円の支払いを命じる判決を言い渡していたことが分かったとのことです(朝日新聞の記事→こちら)。
少なくとも、この研究班の基準を定着させていくことが、これからの私たち被害者側弁護士の役目だろうと思うのです。
(脳脊髄液減少症がどのような病気なのかについては、今回はふれません。ごめんなさい。)
むち打ち損傷のうち、特に症状が重いものとして、低髄液圧症候群とか脳脊髄液減少症と呼ばれるものがあることが知られてきたのは、この10年くらいの間でした。
最初は、一部の医師(その代表が篠永正道医師)が、重いむち打ち損傷の中に低髄液圧症候群があると主張し、その治療(ブラッドパッチといいます。)に取り組みはじめました。
そして、そのころ(2006年頃まででしょうか。)、低髄液圧症候群として、比較的高い後遺障害を認める判決もいくつか見られました。
その医師たちは、より適切には脳脊髄液減少症と呼ぶべきだとして、その診断基準を、脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」まとめました(その冒頭の要約→こちら)。
しかし、このころから、むち打ち損傷により起こる低髄液圧症候群ないし脳脊髄液減少症の診断基準がいい加減だといわんばかりの批判が損保会社サイドから巻き起こり、一時、裁判所も、全くこの病気を認めない時期が続きました。
実は、原総合法律事務所でも、この時期、2件の脳脊髄液減少症のケースを扱ったことがあるのですが、裁判所は否定的でした。
その後、ようやく議論が落ち着き、まず、2010年、日本脳神経外傷学会が「外傷に伴う低髄液圧症候群」の診断基準を発表しました(→こちら)。
そして、2011年、厚生労働省の脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究班が、「脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準」を明らかにしたのです(→こちら)。この研究班の基準は、関係する8つの学会が了承したもので、今後は、この研究班の基準により、脳脊髄液減少症が診断されるものと思われていました(ちなみに、この研究班には、篠永正道医師も入っています。)。
そうであれば、当然、裁判所も、この研究班の基準により脳脊髄液減少症の判断をすることが予想されていたところで、8月27日の報道によると、横浜地裁が、今年の7月にこの基準により「脳脊髄液減少症の疑いが相当程度ある」として、加害者側に約2300万円の支払いを命じる判決を言い渡していたことが分かったとのことです(朝日新聞の記事→こちら)。
少なくとも、この研究班の基準を定着させていくことが、これからの私たち被害者側弁護士の役目だろうと思うのです。
2012/08/26
被害者側を貫くということ
例えば、医療過誤であれば、患者側で活動する弁護士は、医療側の代理人になることはないはずです。
少なくとも、原総合法律事務所はそうです。
原総合法律事務所は、もともと医療過誤の患者側事件が多く、最近では常時5~10件の医療過誤事件を受任しています。しかし、この20年以上、医療側の代理人になることは一度もありませんでした。打診を受けても、全てお断りしてきました。
それは、患者・遺族の皆さんが、医療側の代理もする弁護士・法律事務所だと知ると、不信感や不快感を持たれるだろうと思うからです。
ところが、交通事故については、損保会社の「顧問」として加害者側の代理をする弁護士・法律事務所が、普通に被害者側の代理をしています。
気にされない依頼者の方はいいと思うのですが、実際、少なくない方が、損保の顧問をしている弁護士・法律事務所は嫌だと言って、原総合法律事務所に依頼されています。
交通事故においても、被害者側を貫くということは、少なくとも損保会社の「顧問」をしないことだと思うのです。
そして、今後、交通事故の被害者側弁護士が認知されてくるとすれば、その弁護士は、損保会社の「顧問」をしないことが当たり前になってくると思っています。
実は、原総合法律事務所も、10年くらい前までは、損保会社の「顧問」をしていた時期があるのですが、こんなことを考え、損保会社の「顧問」はお断りし、交通事故の被害者側弁護士としての立場を貫くことにしたのです。
2012/08/25
重いむち打ち損傷、軽いむち打ち損傷
むち打ち損傷のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。
同じむち打ち損傷であっても、軽いものから重いものまで様々です。
本当の重さはその人でないと分からないのですが、とりあえず、損保会社側からの「もうそろそろ治療が終わる時期ではないですか。」との打診に対して反論するためのキーワードを。
こんな病名や症状名がついていると、損保会社側も、重いむち打ち損傷だから治療には時間がかかると思ってくれます。
診断書にこんなキーワードが書いてないか、また、診療中に医師がこんなキーワードをつぶやかないか、気をつけておきましょう。
それぞれの意味はまた今度ということで、とりあえずは、HPのリンクをはっておきます。
同じむち打ち損傷であっても、軽いものから重いものまで様々です。
本当の重さはその人でないと分からないのですが、とりあえず、損保会社側からの「もうそろそろ治療が終わる時期ではないですか。」との打診に対して反論するためのキーワードを。
こんな病名や症状名がついていると、損保会社側も、重いむち打ち損傷だから治療には時間がかかると思ってくれます。
診断書にこんなキーワードが書いてないか、また、診療中に医師がこんなキーワードをつぶやかないか、気をつけておきましょう。
- 神経根(しんけいこん)症、神経根症状
- バレー・リウ(リュー)症候群、バレー・リウ症状
- 低髄液圧症候群、脳脊髄液減少症、髄液漏れ
- 中心性頚髄損傷
それぞれの意味はまた今度ということで、とりあえずは、HPのリンクをはっておきます。
2012/08/24
軽い事故だとむち打ち損傷は起きないのか
むち打ち損傷のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。
前回も書いたのですが、比較的軽い事故でも、むち打ち損傷になることはあります。
でも、損保会社は、頚部が「むち打ち」しない軽い事故では、むち打ち損傷が起こるはずがないといって、比較的軽い事故だと、むち打ち損傷の治療を打ち切るように求めたり、治療費も休業損害も短期間しか認めないことがあります。もちろん、後遺障害も認められなかったりするわけです。
裁判になると、その根拠として、損保会社側から、工学鑑定が出されることがあります。車体の衝突による変形の状態から、衝突したときの速度を推定し、その加速度ではむち打ち損傷が発症する限界に達していないというのです。
でも、この工学鑑定、科学的に見えて、実は科学的ではありません。
そのことを詳しく説明しているのが、羽成守・藤村和夫著『検証むち打ち損傷-医・工・法学の総合研究-』です(→この本)。ちょっと難しくなりますが、こんな風に書いてあります。
分かりやすく書き直せばいいのでしょうが、夜遅くなってしまったので、今日はここまでということで。
前回も書いたのですが、比較的軽い事故でも、むち打ち損傷になることはあります。
でも、損保会社は、頚部が「むち打ち」しない軽い事故では、むち打ち損傷が起こるはずがないといって、比較的軽い事故だと、むち打ち損傷の治療を打ち切るように求めたり、治療費も休業損害も短期間しか認めないことがあります。もちろん、後遺障害も認められなかったりするわけです。
裁判になると、その根拠として、損保会社側から、工学鑑定が出されることがあります。車体の衝突による変形の状態から、衝突したときの速度を推定し、その加速度ではむち打ち損傷が発症する限界に達していないというのです。
でも、この工学鑑定、科学的に見えて、実は科学的ではありません。
そのことを詳しく説明しているのが、羽成守・藤村和夫著『検証むち打ち損傷-医・工・法学の総合研究-』です(→この本)。ちょっと難しくなりますが、こんな風に書いてあります。
- 低速度衝突においては、乗員挙動に影響を与えるもっとも重要な因子は、有効衝突速度から導かれる車体加速度の大小ではなく、車体の速度変化である。
- しかし、事故後の現場の状況、資料から、衝突時の速度変化を求める方法は、確立していない。それは、車種ごとの衝突速度と車体変形量の相関関係が実験により定量化されていないからである。
- むち打ち損傷の閾値(無傷限界値)論は誤りであり、乗車姿勢、衝突態様等により、たとえ低速でも、受傷の可能性がある。なお、その場合、頚部の過伸展、過屈曲がなくても、むち打ち損傷は発症する。
分かりやすく書き直せばいいのでしょうが、夜遅くなってしまったので、今日はここまでということで。
2012/08/23
むち打ち損傷という呼び方
むち打ち損傷のご相談は,東京03-5575-1400,長崎095-820-1500まで。
交通事故の相談で一番多いのは、やっぱりむち打ち損傷の相談でしょう。
ムチウチ・むち打ち・鞭打ち(いろんな変換が出てきます。)という、あれですね。
でも、診断書とか診療録(カルテ)を見ると、病名としては、外傷性頚部症候群とか頚椎捻挫、頚部捻挫と書いてあるんですよね。
どうして、呼び方がいろいろなんだろう。呼び方なんてどうでもいいという気もしますが、結構気にもなったりして。
マニアックな知識ですが、日本整形外科学会用語委員会では、むち打ち損傷と定めています(『整形外科学用語集〔改訂第7版〕』→この本)。そこで、整形外科学の教科書などでは、むち打ち損傷と書いてあります。
でも、実際に診療にあたる医師は、外傷性頚部症候群とか頚椎捻挫、頚部捻挫と書くんですよね。むち打ちと言われる動き以外でもむち打ち損傷は起こるからとも説明されていて、なるほどという気もするのですが(実際、むち打ちのようには動かない軽い事故でも症状は表われます。こんな軽微な事故では、症状は表われないという損保会社の主張を否定する理由には使えます。)。
で、私は、どの呼び方を使っているかというとむち打ち損傷です。学会の公式な用語を使っていれば、間違いはないだろうという安易な考えですが。
交通事故の相談で一番多いのは、やっぱりむち打ち損傷の相談でしょう。
ムチウチ・むち打ち・鞭打ち(いろんな変換が出てきます。)という、あれですね。
でも、診断書とか診療録(カルテ)を見ると、病名としては、外傷性頚部症候群とか頚椎捻挫、頚部捻挫と書いてあるんですよね。
どうして、呼び方がいろいろなんだろう。呼び方なんてどうでもいいという気もしますが、結構気にもなったりして。
マニアックな知識ですが、日本整形外科学会用語委員会では、むち打ち損傷と定めています(『整形外科学用語集〔改訂第7版〕』→この本)。そこで、整形外科学の教科書などでは、むち打ち損傷と書いてあります。
でも、実際に診療にあたる医師は、外傷性頚部症候群とか頚椎捻挫、頚部捻挫と書くんですよね。むち打ちと言われる動き以外でもむち打ち損傷は起こるからとも説明されていて、なるほどという気もするのですが(実際、むち打ちのようには動かない軽い事故でも症状は表われます。こんな軽微な事故では、症状は表われないという損保会社の主張を否定する理由には使えます。)。
で、私は、どの呼び方を使っているかというとむち打ち損傷です。学会の公式な用語を使っていれば、間違いはないだろうという安易な考えですが。
2012/08/21
労働能力喪失率表よりなぜ低い!?
最近、損保会社からの提示で、後遺障害の逸失利益の計算が労働能力喪失率表より低いケースを目にするようになりました。
5級だと基準は79%なのに70%とか、12級だと基準は14%なのに10%とか、えっなぜ???という感じです。
以前は、こんなことはなかったと思うのですが。
こういうケースは、一つずつ、裁判でより高い判断を得ていくしかないのでしょうね。
裁判では、どういう仕事に就いていてどんな障害があるかだとか、実際に仕事の制限があってどれくらい収入が減っているだとか、いろんな事情を考えて、具体的なケースによっては、基準より高い認定もあるのですから。
そんな先日のご相談の方も、裁判を選択されたのですが、基準より高い労働能力喪失率が認められてしかるべきと思うので、より高額な請求で提訴する予定です。
労働能力喪失率表より低い提示を受けた場合は、一度、弁護士に相談してみるべきでしょう。
それが原総合法律事務所だと、特に嬉しいわけですが。。。
2012/08/20
ブログのタイトルにだって意味がある
このブログ、メインタイトルが「交通事故案内ダイヤル」となっています。
もちろん、メインタイトルですから、それなりの意図はあるわけで、まずはその説明です。
今年の2月、原総合法律事務所では、関連する専門家のネットワーク(「ネットワークながさき」)による常設の窓口「お困りごと案内ダイヤル」を立ち上げました(詳しくは→こちら)。
これ、かなり好評で、立ち上げ時は、新聞やテレビで取り上げられ、1日30件近くの問い合せがありました。それから半年過ぎた今でも、1日1件程度の電話が続いています。
その教訓です。
窓口のハードルは、思いっ切り下げる必要があるということ。「お困りごと」を扱うというのも良かったし、「相談」ではなく「案内」というのも良かったようです(直ちに専門家につながるのではないというのが、気軽な窓口の条件です。)。そして、「ダイヤル」、つまり電話でOK(もちろん無料)というのが売りになりました。
交通事故の相談窓口も、そうありたいと思うのです。
原総合法律事務所では、交通事故の相談窓口も、この視点から見直すことになると思います。
2012/08/19
交通事故のブログも始めました
はじめまして。
長崎と東京(赤坂)に事務所がある原総合法律事務所の弁護士原章夫です。
原総合法律事務所では、HP(→こちら)でも交通事故の情報を発信していますが、ブログも始めました。
HPだと、言い過ぎていないかとか、ここは確かめてからとか慎重になりすぎて、なかなか新しい記事をアップできないので、ブログだったら、もう少し気軽に、頻繁にアップできるかなと思ったもので(すみません。HPを更新できていない言い訳です。)。
でも、こう言ってしまうと、いよいよ頻繁にアップしないと「嘘つき」ですね。これも、自分に縛りをかけている覚悟の表れに違いありません(と、人ごとのようですが。)。
とりあえず、ブログを始めたことのご挨拶と、うまくブログを立ち上げることができたかテストのためのアップです。
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